ゼノサーガ エピソードⅢ ツァラトゥストラはかく語りき

クリア時間31時間。サブクエストとかは全くやっていないでの時間です。正確には全滅を何度かしているので、もっとかかっていますけど。
総評としては、よくぞあの大風呂敷をたたみきったという感じ。たぶん話の密度では、エピソードⅠとⅡを足してもⅢには届きません。設定の詰めすぎなどで、色々突っ込みどころは満載な気がしてならないのですが、これだけの密度で世界設定をしているんだからその辺は目を瞑っても良いでしょう。ゲームとしても、物語とゲームがお互いを潰しあってたエピソードⅡから比べれば格段の進歩。ゲームをやっているなという部分と、ストーリーを楽しもうと思う部分がちょうど良い具合のバランスになっています。

システム

キャラクター育成は、あまり捻りはないながらも2つのタイプからスキルを選べて、それなりに育ててるという実感は持てます。ただ、あまり考えることは無いです。
バトルは、キャラクターのほうは結構良い出来。キャラクターごとの特徴がはっきりしていて、キャラクターの使い方次第ではすごく楽に敵を倒せるのに、うまくやらないと全滅することもあるというバランスはなかなか良くできてると思います。ブレイクを狙うか、ダメージ重視で行くかという戦略性も一応あるのかな。好きなキャラだからと固定していたり、常に力押しだった利すると苦労します。終盤のボスはケイオスで最愛の福音をかけた上でなら、KOS-MOSとモモのブラッドダンサーが滅茶苦茶強いので、力押しできますが。
E.S.でのバトルはエフェクトの派手さで楽しめますが、そんなに考えるこしますするかなぁと。基本的にHP残量に応じて行動が変化するので、一気に持っていきたいときはアニマ覚醒3の必殺技で持っていくのが良さそうです。
バトルのテンポは無駄なエフェクトで悪くなることもなく快適。ボス戦のバランスは頑張れば勝てるという感じなので、ちょうど良いかと。ただ、少し敵のHPが多いかも。ダンジョンの広さや謎解きは適当な感じですが、パズル的要素を期待するならちょっと期待はずれな感じです。ただ、ゼノサに誰もそんなことを望んではいないと思いますけど。

ストーリー

ゼノサーガの魅力の90%は設定とキャラクターとストーリーであることに異存を挟む人はいないでしょう。そんなストーリーですが、ⅠⅡでは伏線をばら撒くだけばら撒いて回収する気配もなかったので、非常に不安でした。しかしながら、エピソードⅢではしっかり回収してくれました。というか、物語の重要な部分はほとんど全てⅢに含まれています。その分、後半の詰め込み具合は、詰め込みすぎと見るか、息もつかせぬ展開と見るかで評価が分かれそうです。まぁ、ネタバレになるので触れませんが、ユング心理学ニーチェ哲学、キリスト教といったモチーフを使いつつ、なんだかんだでSFとして仕立てたのはさすが。あまりにも様々な要素を詰め込みすぎて、もはや何がなんだかわからない位の過剰さがゼノシリーズらしくてよろしいと思います。
ただ、この濃度の濃さは当然悪い面もあって、とにかく話が分かりにくいです。しかもキャラクターの行動原理や、そもそもの世界設定で疑問に感じる点が多いです。攻略本の解説を読んでようやくおぼろげに理解できるというところ。キャラクターそれぞれが物語を持っていて、それが複雑に絡み合って一つの物語を成しているので、かなり状況が込み入ってます。というよりも、複雑に絡み合った一つの塊のような物語を、様々な角度で切り取ったらそれぞれの物語になるという感じです。そういうつくりの情報量の極端に多い物語は、語り方が非常に重要になると思うのですが、その辺がかなり苦労したのかなと。Ⅲは結局それぞれの物語を平行で処理する形になっていますが、そのためにクライマックスばかりが連続するという不思議な現象も起きていますし、逆にⅠはクライマックスがなかったり。Ⅱに至っては、Jr.の物語と限定してしまったために密度が薄くなったりと試行錯誤の後が見えます。その辺はRPGという形式もマイナスだったかもしれません。必ずパーティーで行動する必要があるというのもそうですし、それ以前にプレイヤーキャラクターがその場にいないと物語を語れないというのは大きな制約だったかなと。ミルチアのような過去の話をするのは結構そう大変でした。
そこら辺を差し置いても、密度の濃いストーリーは十分満足。ラストの9章はかなり良かったです。序盤から中盤にかけてシオンが延々と鬱陶しかったですが、まぁ、物語上仕方が無いか。
イベントシーンやムービーは、見せ方は良かったです。声付きのイベントを増やして、重要な部分だけムービーを挟む手法が情報量の多い物語にプラスで働いていたと思います。

感想(ネタバレあり)

ストーリー的には、どんなに辛いことがあっても希望を信じて明日へ進もうという非常に普遍的なメッセージの作品だったのだなぁということに感慨。宇宙の存亡まで話が広がるとか、虚数領域とか上位領域とか広げ続けた大風呂敷が何となく繋がったあたりで、よくもこれだけの物語を一人の人間の頭の中でくみ上げたものだと感心しました。
序盤は判らない部分が多すぎてもどかしかったのですが、7章からの怒涛の展開は凄かったです。スオウやヨアキムといった人々の真意が明らかになるミルチア事変の回答編から、ユーリエフ、マーグリス、ヴォイジャー、ケビン、そしてヴィルヘルムとそれぞれの話を決着させに行くあたりは息もつかせぬ展開でした。そしてエンディング。なんだか意味はさっぱり分からなかったけど凄かった。ケイオスってそんな大層なものだったのかとか色々ありますが、やっぱり美味しいところはジン兄さんが持っていったという感じでした。マーグリス戦も良かったし、個人的には今回いちばん活躍していたのではないかなと思いました。