ライトノベルの楽しい書き方 / 本田透

ライトノベルの楽しい書き方 (GA文庫)

ライトノベルの楽しい書き方 (GA文庫)

伝えられない想いを、ライトノベルの中に込めて。
海の生き物が大好きな男子高校生八雲は、編集者をしている従姉心夏に頼まれ、ファンシーな作風の新人ライトノベル作家姫宮美桜の原稿を取りに行く。しかしそこで出会ったのは、学園最強と謳われる孤高の少女流鏑馬剣で……という感じで始まる話。
自信家な部分と脆い部分を併せ持ったヒロイン剣の、いちいちオーバーアクションで過度なツンデレ振りが可愛らしいです。周りの自分に対するイメージと、可愛らしくありたいという願いのギャップに悩んだり、スランプでライトノベルが書けなくなってへこんだり、八雲のことがだんだん気になってきて、でも色々考えすぎて素直な気持ちを出せなくなってしまったりと、見ていて飽きない感じ。
その剣が恋愛ものを書くために、剣と一ヶ月間の疑似恋人関係になる八雲の方も、初めての恋に素直になれなかったり、必死になってみたりとこれまた微笑ましい感じで、思いのほかお似合いのカップルぶりを披露してくれました。
その辺りの部分は良かったのですが、文章やストーリーの部分が合わなくて苦しいものが。兄想いの妹や子供のような従妹のキャラクター造形や喋り口調とか、淡白さを感じる文章とか、どうにも緩すぎる気がするストーリー展開とか、読んでいてうーんという感じ。展開自体はそつなくまとまっていると思うのですが、無理に型に嵌めたラノベっぽさみたいなものがあって、作品全体に悪い意味での軽さを感じてしまうのが、個人的にはちょっと厳しかったです。