人類は衰退しました 3 / 田中ロミオ
- 作者: 田中ロミオ,山崎透
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/04/19
- メディア: 文庫
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この時代から見ると古代遺跡で、現在基準でみると未来都市に当たる都市遺跡探索中に、だだっぴろく真っ暗な巨大建造物に閉じ込められてさぁ大変な私と助手さんのお話。マッピングしてみたり、スライムモンスターが現れたりと非常にダンジョン探索型RPGっぽい物語が展開しますが、水が無くなったり、疲労だったりで死にかけているあたり、ほわほわした作品の雰囲気からかけ離れたシビアさにちょっと戸惑ったり。
その辺りの原因はたぶん、旧文明の遺産を使ったことで発生した電磁波から逃げるようにいなくなってしまった妖精さんの不在。あらゆるシリアスを無効化する妖精さん時空の不足が、つらい現実を招き入れたのだと思われます。
そんな感じの都市内部で繰り広げられるアクションだとか、旧文明が何故滅んだのかとかの話は、色々なガジェットを組み上げたかのような印象。ファンタジーな話と、SF的な話と、身近な感じの話がごちゃごちゃに積み上がったようなカオスっぷりなのですが、要素要素にきっちりイメージが湧くのはきっと何らかのイメージの共有があるのかなぁとか。
そして、ラストにかけての私の行動にはびっくりしました。割と絶望的な状況の中で助手さんを引っ張っていく姿に成長を感じてはいましたが、無気力事なかれ主義の権化のようだった彼女にこんな変化があるとは。
しかしこれ、妖精さんを中心とするファンタジックゆるゆるワールドを、現実世界の論理から守るために私が戦い始めたようにも見えます。永遠にゆるゆるワールド内だけで話が続いていくのかと思っていたので、こういうシリアス気味な展開をしていくのかと驚き。まぁ、次の巻になったら本当に何事もなくゆるゆるワールドに帰ってきているのかもしれませんが!