魔法使いの嫁 9 / ヤマザキコレ

 

 アニメと同時に1部完というタイミングとなった作品ですが、アニメ版と比べるとマンガの方が細かい台詞などが多くて、なるほどなあと思う部分がありました。

チセとエリアスがぶつかったのは、人間と人外のカップリングを描き続けた必然で、ただチセが普通の人ではないのもまたこの作品の特徴で。チセは体質もあって魔法使いたちの世界に異様に親和性が高くて、けれど彼女には他を犠牲にすることに対して譲れない一線がある。ただ、それが人間らしさと呼ぶべきかはわからないし、エリアスは合理的な魔法使い的思考をするけれど、やっぱりそういうモノとは少し違っていて。だから、この作品は人外×少女ではあるけれど、それ以上にエリアスとチセの物語であるのだなと思います。

チセを救うためにステラを犠牲にすることを選んだエリアスと、カルタフィルスを止めるために自分を犠牲にすることを選ぶチセ。チセの度を越した自己犠牲は考えなしと何度も言われ続け、カルタフィルスにもそれを責められ、それでも貫き通したもの。エリアスも自分の判断が間違っていたとは今でも思わないと言う。

それでも2人は、話し合って、ルールを決めて、互いを隣において歩むことを決めた。価値観が根底から異なるから、お互いを合わせる事はできないけど、話し合って進むことはできる。だからこその異種間コミュニケーションであり、だからこそ彼女は「魔法使いの嫁」。タイトル通りの、素敵な結論にたどり着いたなと思いました。良かったです。