ロクメンダイス、 / 中村九郎

ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

奇妙な本でした。
心と恋を扱った話なのですが、変化球というか、もはや重力にしたがってないというか、なんだこれというか、なんというか。とりあえず、文章も物語の運び方もセンスが独特すぎて、私の感性ではうまく解読できないんだけど、変な勢いは感じるし、話が壊れてる訳では無いといった印象。知らない法則性で組み上げた物語っていう感じ。半分まで読んだ時は読みにくいし面白くないし読むのを止めようかと思ったんですが、最後まで読んだら結構面白かったので余計に自分の中で評価しにくい感じ。
話の内容は心を病んだ人たちと恋とカウンセラーの話。心をデータ化するとか、自分を表す記号とか、そんな単純化していいのかというようなものをこの世界ではそうであるという風に思わせるのは上手。そして何を言ってるのか分からないし、話の筋も良く分からないのに、何かが分かったような気分にさせるのも上手。でも素直に面白かったとはいえないのがなんとも。
満足度：C+