みずたまぱにっく。 / ハセガワケイスケ

ハセガワケイスケ新シリーズ。続きが楽しみです。
あらすじを読むとラブひな系のラブコメを想像しますが、そういう路線を期待して読むと肩透かしを食います。そういうラブコメ的な雰囲気とはまた違う、ふわふわした優しげな空気です。しにがみ。から切なさとか神秘的な雰囲気を引いて、コメディ風味を加えたような印象というと正しいか。ハセガワケイスケにこういうコメディを書く引き出しがあったと言うのが個人的に意外でした。しかもちゃんと面白いです。リズムの良い口語体の軽い文章で読み易いですが、その反面密度の薄さは感じるかも。ライトノベルとしては正しいと思いますけど。
話としては女子寮にお手伝いさんとしてやってきたマシロが、その寮の4人の子達とケンカしたりしつつも交流していくような感じ。出てくるキャラたちが訳ありで人間関係に不器用なタイプなので、とまどいながら繋がりを深めていくのは良い感じだなと思いました。後半では学校での話も入ってきて、ここから4人の訳ありな身の上が明らかになっていくのだろうなと言うところで終わるので、この巻だけだと導入編という印象。それでもきっちり楽しませる仕掛けはあるので十分満足ではありますが。これからマシロと4人がどう関わっていくのかが楽しみです。
キャラクターも魅力的。4人それぞれティピカルな造形ではありますが、キャラもしっかり立っていますし、なんだか不思議と好印象が残ります。この辺り作品の雰囲気が大きいのかもしれません。
それにしてもエアメガネは強烈。
満足度:B+
以下ネタばれ

うん、このひっくり返しはびっくりです。2段階の反転で物語の色がハーレムものから一気に逆ハーレムへ転換。そしてそのまま女子高でのお嬢様ライフが始まるんだからなかなかぶっ飛んでるなぁと。要素要素で見ると、既存作品を想起する部分がかなり大きいのですが、この組み合わせ方は予想外でした。この設定だけでもかなり楽しめます。
そして、女装ショタっ子という最終兵器が! とか思ったり思わなかったり。女装もの好きとしてはなかなか楽しみな作品になりそうです。