バカとテストと召喚獣 / 井上堅二

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

愛すべきバカどもに乾杯!
このラノでの高順位を見て手にとったのですが、これは確かに面白いです。
学力ごとにクラス分けを施され設備にすら格差の存在する学校を舞台に、テストの点数=戦闘力な召喚獣を使ってのクラス間戦争という設定でもう既に勝っている感じ。誰にも経験のあるテストを題材にして、テストの点数で戦うだとただの学力試験になるところを、ひとひねり加えてあるのが上手いです。最低ランクのFクラスの面々が、学力とは別のところで色々なことを仕掛けて上位クラスに挑む姿はつい応援したくなります。
と、まぁシリアスにバトルものであるようにも取れる紹介をしましたが、この作品の真骨頂は何をおいてもそのバカさ加減。どうしようもなくバカなんだけど、熱くてノリが良いFクラスの連中が、普段は貶し合ったり煽り合ったりしているようでここぞの場面では抜群のチームワークを見せつけてくれる辺りは最高です。それぞれのキャラクターが立っていて本当に魅力的で、その掛け合いも素敵。ようやく秀吉が何者なのかを知りました。そしてムッツリーニは良いところをもって行き過ぎ。バカだから何も気づかない吉井を巡る活発暴力少女美波とオドオド秀才少女瑞樹の恋の鍔迫り合いにもこれから期待大。吉井はバカだけど、友達思いでやるときはやる辺りが格好いいです。バカだけど!
その反面、ストーリー展開や文章に関してはあまり上手くないという印象が強かったのですが、ギャグやキャラクター達の魅力でその辺りはお釣りがくる感じなのでとりあえず良いのか。でもさすがに、クライマックスのvsAクラスはもう少し引っ張って盛り上げても良かったかなと思います。その辺りは続きに期待しつつ、2、3巻を買ってきます。
どうでも良い話ですが、章の初めについているテスト問題の珍回答に笑いつつ、意外と問題が分からないことにややショックを受けたり。こんなに忘れているのか……。
満足度:A-