スパイラル・アライヴ 4巻 / 城平京・水野英多

スパイラル・アライヴ 4 (ガンガンコミックス)

スパイラル・アライヴ 4 (ガンガンコミックス)

まさに、衝撃の事実。
今見えている構図に新しい視点や情報を加えることで全く違うものに変えることは、この原作者の得意とするところだとは分かっていたのですが、この作品に対しては全く何も身構えていなかったので驚きが大きかったです。キャラクターによって作中で何度も強調される不審点を考えていれば、思い当ってもおかしくはない感じではあったのですが。
そんな訳でネタばれを避けるといろいろ語りにくいのですが、事件の方は大きく進展が。その中で、この作品における鳴海清隆という存在の絶対性を強く感じさせられました。雨苗を始めとして、シェフィールドや理央、耕介や亮子も皆、最終的には清隆の描いたシナリオの上で動いているようなこの感じ。雨苗自身の行動の根幹にある9年前の事件とそれに関する記憶を、彼女の周りに耕介たちや伊万里を配置することで思い起こさせて揺さぶっていく手法は、もはや単純に性格が悪いと思います。
次は最終巻ということで、この事件に決着がつき、さらに「スパイラル 〜推理の絆〜」に繋がる模様。なんだか色々片づけなければならないことが多いような気もするので、相当たたみかけるような展開で来るのかも。それはそれで楽しみです。
あと、本編には関係ないのですが、ファンサービス的には「企業秘密」のあの人がちらっと出ていてうれしかったり。というか、こんな時期から清隆の手駒をやっていたのか……。


以下ネタばれあり
死体入れ替わりのトリックだったとは考えもしなかったです。ただ、そう考えれば、彼女の言動の数々が確かに腑に落ちます。そして、計画が崩れるに従って表に出す、抱えた絶望の深さも。事実とともに明らかになる「シャーロットなんて死ぬのが当然の子よ」という言葉に込められた想いが、あまりに痛いです。
残された謎は、9年前の事件の真相。渦中にいたシェフィールドすら事実は知らないようなそぶりを見せていて、彼女との対峙によって、どんな結末が訪れるのか正直全く予想がつきません。楽しみに待ちたいと思います。