- 作者: 杉井光,赤人
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2008/09/16
- メディア: 文庫
- 購入: 10人 クリック: 279回
- この商品を含むブログ (124件) を見る
仲の良い作家仲間を美少女化してヒロインにするラブコメディを、自分を主人公にして書いてしまった作者も凄いですが、限りなく内輪ネタの色が強いこの本を出版した編集部も凄いような。それに踊らされる私みたいな読者がいると踏んでの出版だとしたら、見事に引っ掛かってい訳ではありますが。とりあえず、ライトノベルの作家や業界にまで興味がある人なら楽しめる作品だと思います。
そんな訳でライトノベル作家杉井ヒカルと彼を取り巻く悪霊や妖怪な作家たちの繰り広げるラブコメディ。狼少女や座敷童や陰陽師、アンデッドに吸血鬼にインキュバスとハチャメチャ具合が楽しいキャラクターの魅力もありますし、なによりヒカルと狼少女なイヅナのラブコメとして大変ニヤニヤできる良い小説でした。
もう半同棲状態でご飯まで作ってもらっていて、どうみても好意がダダ漏れになっているのに憎まれ口ばかり叩いて素直になれないイヅナと、ニュートラルなように見せかけてイヅナのことになると目の色が変わってしまうヒカルの関係性は大変美味しかったです。周りからもう完全にそう見られているのに本人たちはつゆ知らずな顔をする辺り、そしてラストの展開などはもう悶えるしかない感じ。
そしてもちろん元ネタがある訳で、現実との絶妙なリンク具合が面白かったです。ヒカル×イヅナもニヤニヤできるのですが、光×凍砂を考えるとさらに3割増しでニヤニヤできるよね、的なこのフィーリング。それから、ラノベ作家の日常が垣間見える業界ネタや、メタネタなんかも好きな人にはたまらないものがあるかと。
そして何よりこの作品自体楽しくて、そこから透けてくるライトノベル作家たちの暮らしが物凄く楽しそうで、思わず良いなぁと思わさせられるところが、この小説の最大の魅力なのではないかと思いました。