ダンタリアンの書架 2巻 / 三雲岳斗

ダンタリアンの書架2 (角川スニーカー文庫)

ダンタリアンの書架2 (角川スニーカー文庫)

不思議な力を持った"幻書"によって引き起こされる事件に、幻書を収めた図書ダンタリアンの書架を持つ黒衣の少女ダリアンと青年ヒューイが関わっていく短編形式の物語。
幻書の力は確かに強くとも、それを使うのは人であり、それに惑うのも人であるという点が徹底している感じ。幻書の魔力に飲まれて身を滅ぼす人もあれば、その魔力をいとも簡単に振り払う人もいるという辺りに、何とも寓話的な黒さがあって好みです。
それぞれの短編の出来が良くて、安定して面白いのですが、その反面突き抜けたものはないというのはちょっと物足りない部分も。でも、どこか古風な匂いのある落ち着いた雰囲気は凄く読み心地が良いし、ダリアンのキャラクターやヒューイとの関係性は魅力的。少し物足りない部分は、この先幻書やダリアン自身の謎に踏み込んで行くにつれてなくなっていくのかなと思います。
そして本読みで黒い衣装でツンデレで甘いもの好きなダリアンの魅力はいよいよ絶好調な感じ。ヒューイへの罵詈雑言と、その裏にある絶対の信頼が何とも微笑ましい感じで、やきもちを焼いたりしているところなんて大変可愛らしいです。ただ、1巻の時も感じたのですが、人在らざるものとしての超越性みたいなものをもっと見せてくれないかなという不満があったりも。どんどん性格が幼児化していることもあって、これだと普通の小さな女の子な部分が強すぎるような気が。
とはいえ、好みの作品であることは疑いようがないので、その辺りは今後に期待しながら続刊を待っていたいと思います。