にがくてあまい 6 / 小林ユミヲ

この巻は渚とマキの話はいったん置いておいて、渚の後輩の体育教師ばばっちこと馬場園先生の話が描かれるのですが、これがまた非常によろしかったです。学生時代将来を渇望されるようなハンドボールの選手だったばばっちの挫折とトラウマ、そして幼馴染の純との関係。整理したように見えて全然整理できずに来たそれが、ハンドのコーチの依頼と純との意外な再会で蓋が開かれて、という話。くそ真面目でヘタレなばばっちとさっぱりして男前だけどちょっとろくでなし感のある純の二人が良いのです。
お互いに両親に問題を抱えて、ばばっちの婆ちゃんの元一つ屋根の下で暮らした子ども時代。姉と弟みたいな、それ以上に届きそうだった関係が、コンプレックスや誤解の積み重ねで崩れていって、お互いに思いを抱えたまま時を重ねて。その掛け違えたボタンを直していくような話がもう凄い好みで素晴らしかったです。それを支える渚とマキの姿もこれまでの話があるからこそそう動いたんだろうと思えて良いし、なにより最後にハッピーエンドを迎えてくれるのが素敵な話でした。たくさんの壁を超えて迎えに行くのはやっぱりロマン。ベタと言ってしまえば大変ベタなドラマ展開なんですが、大変おいしゅうございました。