【マンガ感想】1518! イチゴーイチハチ! 7 / 相田裕

 

1518! イチゴーイチハチ! (7) (ビッグコミックス)

1518! イチゴーイチハチ! (7) (ビッグコミックス)

 

 一つの時代が終わって、新しい時代が来て、まだ物語は続いていく最終巻。

公志朗が新しい夢をみつけて、気持ちに整理をつけて、そして幸に告白をして、そうなったらもうそこから先は物語としてはボーナスステージみたいなもので。

怪我で野球という夢に敗れて行き場を失っていた少年と、ぼんやりと生きていた少女が生徒会という場所で出会って、松武というお祭り気質の学校と先輩たちと仕事に取り組んでいく中で、たくさんの経験をして、そして成長していったということが、2人の言動にも、行動にも、表情にも溢れていて、ここまでずっと見守ってきたような気分になって泣けます。ああ、何もかもだめになったように思えた後でも、こんなにも青春することができて、そして人は関わりの中で変わっていくのだと。

生徒会で過ごす彼らには物語的には地味な等身大の出来事しか起きていなくて、それでもこんなにもドラマチックで、こんなにも青春は尊い。それがどん底から始まったのならば、なお尊い。そこには確かな救いがあって、なにより本当にこいつら楽しそうだな、青春って楽しいんだなって思える。

諦めざるを得なかった公志朗と対称的にそれでも夢を諦めないことを選んだ先輩、そしてやっぱり松武で生徒会をする中で変わっていった先輩たち、そして先輩になった2人、新たにやって来る後輩たち。学校という場所で、ここに描かれたことも、描かれなかったことも、そしてこれからもたくさんの物語が生まれて、彼ら彼女らは生きていく、変わっていくということを、なんて素敵に描く作品だったのだろうと思います。素晴らしい、最高のマンガでした。

あと、ナカナツは、この先絶対に幸せになってくれよな……。絶対だぞ……。本当に良い子なんだよ……。