【ゲーム感想】ゼノブレイド Definitive Edition

ゼノギアスゼノサーガは大好きで、ゼノブレイドは興味はありつつも手を出していないゲームだったのですが、そろそろ3の発売だというのと、GWセールで安くなっていたことでついに。全てのクエストをやった訳ではなくても、つながる未来と合わせるとクリアまで90時間くらいの大ボリューム。そして、スケール感もまさにど真ん中の大作RPGといった趣でとても面白かったです。

そう、真っ当に面白いんですこのゲーム。ゼノシリーズって色々と粗があっても尖った個性と難解な設定とこういうのやりたい! っていうのが伝わる熱量でその倍の加点を叩き出すみたいなゲームで、私は好きだけど人に勧めるかというと難しいところがあったのですが、これはもう胸を張って面白いRPGだよと言えるクオリティに仕上がっています。どうしたモノリスソフト任天堂に買われるとそんなにレベルが上がるのかモノリスソフト

 

ゲームとしては要素盛りだくさんなのですが、やっぱり大きな売りは広大なフィールドだと思います。とにかく広くて、景色が良くて、そして高いところが怖い。オートランやランドマークへのスキップ機能のサポートもあって、まず走り回っているだけで楽しいというのがベースとして強いです。特に序盤のガウル平原のどこまでも広がっていくあの感覚、BGMと合わせてとても気持ちが良い。そしてそれが大量に存在するクエストをこなすモチベーションにもなっているのも良いところ。滅茶苦茶親切なナビゲーションが出るので変に迷って詰まったりしないとても優しい設計で、サクサクとこなせることも低ストレスで個人的には良かったです。

 

あとはネットゲームっぽいバトルシステムも一見難しそうに見えるけれど慣れれば意外と簡単で良かった思います。結局シュルクで後ろからバックスラッシュをして未来視が来たらモナドシールドするだけの人になっていたのであまり偉そうなことは言えませんが、それでもちゃんと闘っている感はあって悪くなかったです。ラスボスもずいぶん死んだけど、ちょっと攻略情報見て工夫をすれば何度目かのチャレンジで倒せましたし、バランスも適切だったのではないかなと。

それからBGMが良かったのですが、やはり「名を冠する者たち」が最高だったと思います。ネームドの固有モンスター戦の曲ですが、否応なくテンションが上がる曲、兼やっべえなんか来た逃げなきゃとなる曲で一番耳に残っているところです。


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以下はネタバレあり。

 

 

ストーリーとしてはゼノらしい難解さは影を潜めた王道冒険譚。そして情報の出し方も懇切丁寧で、こいつ怪しいぞだとか、これはこういうことでは? と思うところは大体そのまま来る素直なストーリーになっています。まず冒頭コロニー9が明らかに襲われそうで幼馴染ヒロインがあまりに死にそうなところから始まる訳じゃないですか。そして復習譚として開幕するのでよし来た了解となる感じ。アルヴィースだけはお前裏切るでしょ? 裏切らないの? やっぱ裏切るでしょ?? と掌で転がされまくりましたが。

そんな風に先の予想ができたら面白みがないじゃんというとそういう訳ではなく、方向性は裏切らないけど、スケールで超えてくるものになっていて、そこも変化球じゃなくて正道で攻めてきています。やっぱこう、巨神も機神も動くのかなとは思ってたけど、実際ああ動いたらうおおおおってなる訳じゃないですか。そして終盤にかけてはゼノらしい背景設定も見え隠れさせながら、最後までスケールを上げ続けてやり切っているのが凄いなと。

ただ、展開の読みやすさは中盤のストーリーの感情移入の難しさに繋がっているようにも思います。シュルクの復習譚としてはクライマックスを迎えるあたりで敵である機神側の事情が丁寧な伏線として出てくるので、いやーちょっとそれはやめた方がいいんじゃない? 話聞いたほうがいいんじゃない? みたいな気持ちになってキャラクターとプレイヤーの気持ちが乖離するのが、RPGとしてはちょっと辛いかなと。マップ的にも雪山とか大剣とかあまり楽しい気持ちにならないので、個人的にはちょっとダレるところではありました。

そこを超えてマシーナが出てくるあたりで世界背景がばっと広がって物語が次のステージに上がってからは、ゼノシリーズなんだなこれというテイストが強まり良かったです。だって最初の設定聞いた時点でこの世界の生き物、巨神復活のためのパーツなんでしょ? とか、ザンザの初登場の当たりのイベント見て、また永劫回帰してるパターンですかね? と思うし、そういう世界レベルの話とか観念的な話が入ってくると、お変わり無いようで良かったですという気持ちにもなる訳で。世界の始まりに事象転移の実験とかやってるところに至っては、お前やっぱりゾハルじゃねーか!! ってなりますしね。とはいえ、その辺りはフレーバー的なものにとどめて、ストーリーは分かりやすく必要最低限の説明でテーマはブレずに構築されているので、なんだか大人になったゼノシリーズという感じではあります。

そしてテーマと言えば、定められた未来を変えるというストーリー上のテーマと、シュルクの未来視で戦闘中に何度も未来を変えてきたことの意味ががっちり噛み合ってなるほど! となるのは非常に上手かったなと思います。

 

それから、ストーリー的には追加コンテンツの「つながる未来」ですよ。本編エンディング後、大戦の後の復興中の世界で人々がどう生きていくのか、そしてそこでメリアがどう向き合っていくのかが大きなテーマとなるこの話。まず、エンディング後の世界がどうなったか話が大好き人間としてはそこをしっかりやってくれて大変に結構だったのですが、やっぱり最大の魅力はメリアの株が爆上げになるところ。

このメリアというキャラクター、皇太子という立場なのですが、本編では義母に命を狙われ、皇主である父を喪い、兄も喪い、恋には破れて国は滅ぶというあまりにも過酷な運命を突き付けられ続けます。そんな中でも最後まで戦い続ける強さが魅力ではあったのですが、つながる未来ではその芯の強さが民を導く者として大開花。巨神肩に生きる人々の前で、皇統を継ぐに値する器を見せてくれます。民の命を背負って生きる者としての覚悟というか、矜持というか、まさにノブレスオブリージュ。いやーロイヤルだった。好き。世界の復興と人々の未来、血の繋がらない姉妹であるタルコとの関係の清算、そこから繋がっていく未来まで含めて完璧な締め方で、本編をやっていることが前提ですが、個人的には本編以上に満足度の高い追加コンテンツでした。

ちなみにキャラクターの話をすると、本編はどのキャラもちゃんと好きにならせてくれるあたりのバランス感の良さも美点だと思います。その中でも主人公のシュルクはやっぱり好きになるし、戦闘では大変お世話になるダンバンさんも良い。あとノポン族のリキの見た目や普段の言動に反して大人なところが見えるのが非常にズルい。これがギャップ萌えってやつか。兄上も国を率いるには真っすぐすぎたけど好青年だった。あとはメイナス様。もう絶対好きになるようにストーリーが作られているので抗えない部分があります。

 

そんな感じで重い腰を上げてやって良かったと自信をもって言える名作RPGでした。これで3までやることは自分の中で確定したのですが、このボリューム感だと2のクリアは3発売に間に合わないというのが悩みどころ。というか何故発売日が前倒しになるというマジックが起こったのかと思うのですが、まあ慌てずゆっくり進めていきたいと思います。