Sound Horizon 6th Story Concert 『Moira』 〜其れでも、お征きなさい仔等よ〜

「Moira」が予想以上に良かったのでギリギリ飛び込みでチケットを買って行ってきましたコンサート。当日引き換え券だけあって遥か後ろの席ではありましたが、会場がそれほど大きくないこととステージ真正面だったことも相まって全体を見渡せる良い位置でした。幸運。

内容に関してはまだ初日なので隠しておきます。




ストーリー性が非常に強いアルバムだけに、どういう形で表現するのかなと思っていたら、ほとんどミュージカルのような形態でした。バンドと歌い手だけではなく、ダンサー、役者、声優の声を使った非常に豪華なステージ。薄幕のスクリーンによる演出から、セット、衣装といった部分まで手抜きなしの気合の入り具合は凄いものが。これは確かに全国ツアーでなんてできないと思いました。

構成的にはMoiraの楽曲を順番に、6姉妹(内藤彩加さんが負傷で欠場していて5人でしたが)の詩と、登場人物たちの演技+歌という感じで流れていくもの。CDを聴くだけではイメージしきれなかった物語の世界が、視覚の情報を伴うことで確固たるものとして立ち上がってくるのはなかなか。この辺りはもう完全に演劇の領域でした。そして子役の子たちが可愛いのさ! あとソフィー先生は魅力的すぎると思います。歌の方もさすがに皆上手いです。6姉妹コーラスはなんだか声に圧倒される感じ。
そんな感じで見入っていたらあっという間に流れていった1時間半。物語の世界を音楽と演技を通じて舞台上で表現する、ひとつの作品としての完成度はさすがなものがあると思います。

その後はアンコールでメンバー紹介をはさんで2曲。カーテンコールでも感じましたが、メンバー紹介で全員出てくると壮観。そして相変わらず力の抜けたMCが素敵です。曲の方は、ファン歴の浅い人間としては知らない曲があったりでなんともでしたが、とりあえず変態のインパクトが全てを持っていったような……。じまんぐはやっぱり凄い。

そんな感じで非常に楽しいコンサートでした。ただ、歌劇とライブのどちらのノリに合わせていいのか分からずにやや見ていて戸惑う面があったのが自分的に残念。オペラグラス片手にじっと見ている方が正しそうな部分と、立ち上がって拳を振り上げた方が正しそうな部分が難しい……。
あと、凄く良くできた舞台ではありましたが、たぶんここで本当に現出させたい物語はもっと果てしなく高いレベルの何かなんじゃないだろうかなと思う部分はあったり。これだけものでも、まだ届いてないようにも感じるのです。それはこの6日間の中で出来上がっていくものなのかもしれませんが、もしかしたら何年も続けてようやくたどり着くものなのかもしれないなぁと。この人たちに関しては、もうそういう次元の話な気がします。
そう考えると、この物語をもっと高いところまでもっていってほしいという思いと、新しい物語を聴かせて欲しいという思いが重なってちょっと複雑な心境になったりも。消費者の立場からのどこまでも贅沢な願いだとは分かってはいるのですが!


そんなことを考えたりしつつ、とにもかくにも楽しめました。劇の部分を細かいところまで是非もう一度見たいなぁと思うので、DVDの発売を心待ちにしていたいと思います。