- 作者: 嶽本野ばら
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/05/20
- メディア: 文庫
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異端者の愛と性と生き様を描いた3篇の短編集。3本の中ではエミリーが良かったです。
特徴的だと思ったのは異端者を描くことにものすごい力を入れてるということ。異端者は常々社会的疎外者となり社会不適合者になるもので、それはこの本の登場人物たちも変わらないです。異端として過酷な運命にさらされたり、その嗜好ゆえに自らの首を絞めたりしてるようなのに、社会に媚びず自分の生き方だけは貫き通す、異端ゆえの孤高さがなんだか耽美な感じ。異端な男女が出会う話なのに、傷をなめあうような展開ではなくお互いを尊敬しあうような関係になるのが素敵。下妻物語の友情もそういう感じでしたし。しかし耽美な方向に行くのかと思いきや、しっかり現実社会に根付いた部分は忘れずに、さらにベタでギャグなんじゃないかと思うようなシーンまであったりで、ただ美しい話に仕立てようとはしないのが、本当に異端を描きたいんだろうなという感じがします。この異端ゆえの孤高さがこの人の「乙女」なんだろうなぁと、下妻物語とこれしか読んで無いのですが何となく思ったり。
しかし愛と性のあり方はよく分からなかった……。こういう話に対する感性は情けないことに本当に中学生以下なもので……。そしてお洋服と美術品の話もさっぱりです。
満足度:B