ローゼンメイデン オーベルテューレ

個人的には好みだけど、この系統の話を望んでる人ってどれくらいいるのかな。
ローゼンメイデン前史というか、過去のアリスゲームの話。そして真紅と水銀燈の因縁の話。作りかけで放置されたドールと、完成品としてお父様に愛されたドール。立場の違いからくる上目線からの慈悲。そして力を手にしたことによって崩壊する関係性。「お父様」という愛しい人を巡った二体のドールのかなりドロドロの愛憎物語でした。
過去の真紅が自分の力を強く信じていることとお父様に対して強い愛情を持っていることがこの事態を招いたと言ってもいいわけで、それゆえに今の真紅の考え方があるのでしょうけど、それにしたってあまりに酷い、救えない話。最終的には何体もドールを作ってダメだったから、その中で一番強いものをアリスとしようとしたお父様が悪いのでしょうけど、盲目的にお父様を思慕し信仰しているこの子達にはそんな理屈は通じない訳で。ローゼンメイデンの物語はテーマを掘り下げようとすればするほど救えない状況になっていくという典型例かと。設定としてはガンスリクラスに悪趣味だと思います。
真紅の水銀燈にかけた情けは、弱いものへの憐憫であり、助けではあるのですが、同じお父様を慕うものとしては立場の強いものが立場の弱いものに上目線でかけた情けで、それが水銀燈のプライドを刺激するのは当然。それが水銀燈が力を手にしたことで立場が並び、逆上して「ジャンクのクセに!」なのだからもうなんとやら。同じ王子様を思慕する貴族の娘と村娘の片方が情けをかけたら……みたいな典型的な愛憎劇としか言い様がありません。
これを踏まえて今の状況を考えると、水銀燈の負の感情の重さが増すのでどんどん辛い話になっていくなぁと思いました。しかし、水銀燈ローザミスティカを与えたのは誰が何のためになんだろう。