- 作者: えすのサカエ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/03/26
- メディア: コミック
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12人の未来日記所持者によるサバイバルゲームという看板に偽りは無いものの、綿密な計画やスマートな知略が売りではなくて、バトルロイヤル自体はかなり力任せで大味なもの。ただ、このマンガの楽しむべき点はそこでは無いから良いのです。
楽しむべきは溢れんばかりの狂気。展開もキャラクターもなにかどこかが狂っていて、その狂いっぷりを余すところ無く見せ付けてくる演出力と絵の力が、問答無用で「よくわからないけど凄い」という感覚を呼び起こします。特に凄いのは由乃。自分のユッキーを好きという気持ち以外は何もかもが関係ないかのような行動がヤバイです。徹頭徹尾狂っているのならそういうものとして理解もできるのですが、当たり前のようににこやかな談笑をした後で、やっぱり当たり前のように人を殺そうとするとかもう。にこやかに不法侵入してたりするし、その反面かわいいところを見せたりで、狂いっぱなしより尚怖いです。常識や普通の論理とはまったく別の判断基準で持って行動している人の、理解できない恐ろしさというものはなかなか。そして由乃の表情やセリフがまたいちいち素晴らしいものがあります。
他のキャラクターもどこかしらおかしいし、そもそもデウスの観察する殺し合いのゲームという悪趣味な設定の辺りで読んでいる方は不快に感じる部分もありますが、それでもこの面白さには抗えないという感じ。それぞれのキャラクター造形が漫画的なデフォルメを施されてるのがまた趣味が悪い。
話としてはvs5th終了まで。雪輝に5thやみねねが残した言葉は真理であると思うのですが、この先の二人の関係がどうなっていくか、大いに見ものです。
満足度:A-