桜ish ―推定魔法少女― ① / デジターボ・一肇

どうも、良くわからないものを読んだという気分。でもこれはこれで。
そもそも、ゲームの企画としてはじまってゲームだけ頓挫して小説版だけが出るという状況も相当に良くわかりませんが、中身はさらに良くわからない感じ。
パターンからいえば、少年が魔法のバトルに巻き込まれるいかにもな異能ものの設定にいかにもゲーム的なキャラクターの配置をしてあるのだから、そんなにわかりにくいわけもないのですが、なんというか、変。少年が魔法少女に変身して敵とバトルというのもTSものっぽく変ですが、なにかこうセンス的なものが不思議です。私の理解を微妙に超えていきました。
強引な展開や表面的で薄いキャラクターには感情移入しにくくて理解もしづらいのですが、それでも読ませるだけの妙なパワー。えらく視野が狭いというか、とんでもない出来事までもすべて個人的なことのようになんとも言えない文体で語られ、そのくせ設定は妙に凝っていたり。人格そのものが入れ替わって、自分は特別で世界とは相いれない的な思想が、良くわからないけど愛があればオールOKみたいな勢いに一人称のままに変わってみたり。まるで夢の中の出来事をそのまま記述したみたいな。それでいて、一歩引いてみるとストーリー自体はオーソドックスな展開。
正直途中までは完全な地雷かと思ったのですが、最後まで読むと次が出たら読もうかなと思ってしまうあたりも含めて、私にとってはどうにも変な小説でした。
満足度:B−