嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3)
- 作者: 入間人間,左
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: 文庫
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本当にもう何でこう、人の心の触れて欲しくないところを的確に突いてくるのか。1,2巻では、まだ気持ち良くキャラクター達の壊れっぷりを味わえていたのですが、気持ち良く味わえていたというのはそれだけ親和性が高かったということであって、こういう風にみーくんの内面に切り込まれるともうどうにも。
計算で書かれたというよりも、妄念と勢いを叩きつけたような感じで、前半のだるさといい、廻りくどすぎて読みづらい文章と言い、完成度の話をしたら評価できないとは思うのですが、ただ叩きつけられたそれが一部の人々にはクリティカルなような。
この小説の持つ狂気それ自体は、そこで起きている出来事の凄惨さに比べたらひたすらに空虚で、薄っぺらいと言っても間違いがないのですが、この空虚さの中にこもった後ろ向きなぐるぐる感がたまりません。意味分からないのに何故か感じるシンパシー。溢れる若さというか、もうそろそろ縁を切りたいと心より願っていたはずのうじうじした何かを的確に刺激するこの世界。さすがに作者と年が一つしか違わないと破壊力が違うのか。何もかも全てを虚言であしらおうとしていた僕のメッキがはがれていく終盤に進めば進むほど、読んでいるこちらが追い詰められていくのは私にももう意味が分かりません。お願い助けてもうやめて。
中身的な話をすれば、今回もみーくんはまーちゃんのために頑張るのでしたといういつもの話ではありますが、相変わらずの悪趣味な展開とエキセントリックなキャラクターが独特の世界を形成しています。憎悪と好意の入り混じった、にもうととあにーちゃんの関係や会話などは結構好き。そして、みーくんがみーくんであるために追い詰められていく辺りは、圧迫感がありました。まーちゃんは壊れた人として描かれていても、みーくんは一生懸命壊れようとしている人であるだけに。
理解の及ばない壊れ方を描いたのではなく、それなりの数の人が一度は抱えているであろうものを、一番嫌な形で具象化した、いったいこれを読んで誰が幸せになるのか分からない小説でした。でも愛してる。嘘じゃないよ?
満足度:B+