スパイラル〜推理の絆〜 12巻 / 城平京・水野英多

この巻から火澄編。テーマは多くの人が心から信じて、そのように行動してしまっている、運命あるいは信仰を崩す事ができるかということ。どんなに非科学的でも、それを信じて、そのために多くの犠牲を生んだのならもう後戻りはできない。そうやって作り出してしまった運命の構図に組み込まれた少年は、何も信じない事で何かを変えることができるのか。まぁ、なんのこっちゃと思うでしょうが。
とりあえず、スパイラルは絵だけのマンガではないと思いますよ。設定と台詞回しで引き込みます。歩と火澄の会話なんてもうすごくいいんですよ。こういうのが嫌いな人は、すごくくさいセリフだと思うでしょうが、好きな人はツボに来るはず。そして、真実をすべて目の前に出したふりおしておいて、読者をあざ笑うかのように更なる真実をちらつかせながら、目先では単なる学園生活をやらせてみたりと、実に小憎たらしい。真実っぽい事をつかまされて、結局本当のことなんか全然わからないまま話が進みます。ガンガンですし、対象年齢はやや低くできてますが、十分話として面白いです。火澄編がもう物語の最後のほうになるらしいので、ここから清隆の問題も含めてどう話をもって行くのか。続きが気になります。