GOSICKs Ⅱ / 桜庭一樹

相変わらず安心して読めます。
今回の短編集はⅣとⅤの間に当たる夏休み期間。生徒達が皆バカンスに出た中学園に残った一弥とヴィクトリカの物語です。ただ、むしろ一弥がちょっと謎を持ち込んでヴィクトリカが解くという形なだけで、謎そのものは脇役キャラたちを中心とした話になっています。それでも一弥とヴィクトリカの微笑ましくってしょうがないやりとりは存分に楽しめるので構いませんけど。ヴィクトリカが態度は悪くても一弥には心を開いている様子が、構ってもらいたいけどうまく口に出せないワガママな子供みたいで愛らしいです。
大きな物語ではないし、人がざくざく死んだりするようなこともないので、読んでいてちょっとほっとする感じ。話がどうこうというだけでなく、子供向けの意識を持って書かれているんだろうなぁという優しいな雰囲気と、キャラクター達が変にゆがんでないことが要因かと思います。
ただ、この短編の話というのはあと一歩でとんでもない話になるような気がしてなりません。寮母さんの話はともかく、アブリルの話はよく考えると洒落にならないし、瑠璃の話はブラコンとロリコンの話にも見えるし、グレヴィールの話だってちょっと間違えば不倫になりそう。そして瑠璃の話での瑠璃のツンデレな手紙に笑いました。こういう子供向けの空気をかもし出しながらなにかちょっとズレてる部分は意図的なんでしょうか。
ヴィクトリカと一弥の関係に和んだ後で、確実に迫ってくる歴史の波が本編の方でこの二人にどう降りかかるかに、ちょっと心配つつ期待しています。
満足度:B+