まほらば 4〜6巻 / 小島あきら

正直、不思議なマンガです。
可愛い絵で内容がほわほわしたヒーリング系のマンガの系譜、ではあるのですが、それだけでもないのが多数あるそういったマンガの中でも人気作になりえた理由か。
こういったタイプのマンガだと世界がやたらとクリーンで、毒気も無いけど深みも無いということが多いのですが、このマンガ、割と生々しかったり黒かったりします。類型的なキャラクターに萌えっぽい絵柄、そして優しげな雰囲気に騙されてはいけません。これ、意外と黒いと思うのです。多重人格の大家さんに、友達のいなそうなお隣さん、ニート満喫中なお隣さん、生活に困窮するダメ人間なお隣さんとキャラクターだけでも結構酷い。話もただただ幸せな話というだけでなく、ちらちらと黒かったりしてますし。
ただ、そういう設定や話をちらつかせながらも、幸せで温かい今というものを存分に描いてるから、単にほわほわした日常を描くよりも、説得力が増している・・・・・・ような気もします。あとは細かい部分へのちょっとした気配りとか、良い話や切ない話をサクッと切り出してくる辺りとか、そういう部分も良い感じ。身勝手な強烈なエゴで、それでも今の幸せな生活を守るために自己主張する沙夜子さんに痺れました。
ただ、一本しっかりとしたストーリーがあるわけではないので、まとめて読むとちょっと退屈さを感じます。気が向いたときにパラパラ読むのが良さそうです。
ものすごくどうでも良い話なのですが、作者の性別が読んでいて分かりにくいとか思いました。男性だと思うんですが、ちょっとした部分で女性かもと思ったり。まぁ、どっちでも別に構わないのですが。
満足度:B