聖☆おにいさん 1巻 / 中村光

聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)

聖☆おにいさん(1) (モーニング KC)

イエスとブッダが立川のアパートでルームシェア生活。
なんというか、その設定だけでもう十二分に発想力の勝利な気がしてなりませんが、それを出オチで終わらせないセンスに脱帽しました。
世紀末も無事に乗り越えたブッダとイエスが下界に降りて休暇中という設定なのですが、このブッダとイエスが悟ったり奇跡をおこしたりするとは思えないほどに庶民的。イエスの無駄遣いで怒り心頭のブッダとか、ブログを書くイエスにマンガを描くブッダとか、プール上がりにアイスを買おうとコンビニに入って冷房最高と言うとか、その辺にいそうな感じの庶民ぶり。世界的な聖人のはずなのに、大家さんにニート疑惑をかけられたり、地元のお祭りに参加したり、やることなすことスケール感が小さいというギャップ。
ただ、単純に俗人的なのかというとそうでも無くて、清廉潔白さはきちんと残っているというか、どこか浮世離れしたところを感じさせるバランス感覚が絶妙です。奇跡起こしちゃったり、有りがたい話をして後光が差したりという直接的な部分だけでそう思わせるのではなく、全体的に下世話さを感じさせないのです。
それでいて、中身はしっかりとギャグマンガ。イエスとブッダというキャラクターを使ったネタや、2人の掛け合い、そして身の回りの出来事に対しての反応にいちいち笑えます。
そんな感じで、なんだか凄いと思わせられるマンガでした。それにしても、この二人はどうしてこんなにカマっぽいのだろう……。