【ゲーム感想】ブレイブリーデフォルトⅡ(ネタばれあり)
フィールドマップがあって、街やダンジョンがあって、デフォルメキャラの動きと会話がメインのイベントがあって、コマンド入力の戦闘があってという、昔ながらのRPGを今基準にストレスなく仕立て上げたゲーム。というかこれ最新のFF5です、まさしく。
そしてやっぱり落ち着くというか、アクションRPGの操作が苦手な身としてはこれだよこれという感じがあります。操作性などは今風になっていますが、それ以外は良いところも悪いところも昔のRPGをやっている感覚で、定食屋に入ったらクオリティ高めの定食が出てきたいみたいな。
そんな中で良かったのは戦闘システムとバランス。ジョブ+サブジョブのコマンドが選べて、それとは別に特殊な効果を発揮するアビリティがセット可能。戦闘はシリーズおなじみのターンの前借(ブレイブ)と貯蓄(デフォルト)ができて、今回はATB方式なのでターンの回ってくる速度に装備の重さやジョブによる速度も効いてくる。その全ての組み合わせにシナジーがあって、上手くすれば爆発的な効果をもたらしたり、敵ボスをカウンター系能力含めて完封できたりします。更にパーティーメンバーは4人なので、誰をどういう役割とするのか、そしてそのための育成の方針まで、かなり戦略の幅があり、しかもやたら強い能力は点在しているのでいろいろな勝ち筋があるというのが面白かったです。
凄いなと思ったのは、技やアビリティにぶっ壊れかと思うような強力なものが様々なジョブで数多くあるのですが、かといって戦闘バランスが大味な訳ではないところ。むしろその強力な能力をどう組み合わせて生かすかをしっかり考えないと全然ボスに勝てないというバランスで、このあたりが難易度の高さに繋がってはいるのですが、このゲームの面白さの肝だと思いました。試練の回廊で、明らかに適正レベルが足りずに何度も全滅した後、そんなのあり? みたいな戦略を考えて上手くいったときは思わず叫びましたし、RPGの醍醐味だよなあと。
最終的に私は最終的に超火力で殴り合うみたいな境地に至ったので、隠しボス戦などは全滅直前当たり前からのミレイズで九死に一生、上手いタイミングで神速瞬撃が入ればオーバー8万ダメージみたいな派手な戦闘をすることになり、テンションの上がる乱打戦で楽しかったです。防戦一方なところでホワイトウインドで回復し始めたのは絶望しそうになりましたが。ただ、最後のジョブがBPをコントロールする技ばかりだったので、多分敵のボスにフルブレイブさせない戦略が王道な気はします。
ストーリーは、ムービーなどを使った長いイベントシーンはほとんど無くて、シンプルな会話のみで進んでいく、やっぱりこれも昔ながらのRPG仕様。キャラクターの行動に対する突っ込みどころや、ダンジョンのために突然用意されるダンジョン、それどころじゃないだろ的なお使いクエストなども昔ながらのRPGですが、このゲームだとまあそれも味かなと思わせるのがちょっとずるい。グラフィックを変にリアルに寄せなかったのも、ゲーム性に対して合っていたと思います。
話的には4人の光の戦士が、クリスタルの封印が解けたことで甦る敵を倒すというド王道。ですが、特に序盤の4ヶ国を回るあたりの話は非常に丁寧に描かれていて良かったです。クリスタルを求めて旅する主人公たちが関わることで解決する問題もあるのですが、苦みの残るような話が多かったのも印象的。最低限のイベントと言葉で滅茶苦茶に盛り上げる訳ではないのですが、描かれない間を想像させるのが上手いなというのと、サブクエストでフォローすることで痒い所に手が届く掘り下げがあるのが良かったです。中でもサヴァロンの話とライムダールの話が好き。特にサヴァロンはバーナードとニハルの関係がとても良かったし、ニハル幸せになれよって思います。ボス的にはフォリィの擁護の余地も無いが深い思惑もないサイコパスっぷりが純粋にヤバい悪として突き抜けていて好きです。
ただ、終盤にかけての展開はちょっと雑だったのではというか、ペース配分間違えた? みたいな感じがありました。ホログラード、ミューザ辺りから少し駆け足かなとは思うものの、アダマスのことはロンズデイルのイベントがあるし、在りし日のミューザでのグローリアが見たかった気持ちはありつつも、スローンと逃げた時の回想が効いていて十分な感じ。ただ、仕掛けと展開の情報量が多すぎるのはあるのですが、その先の妖精がらみはもう少し掘り下げてもよかったんじゃないかなあと。最低限必要なことは描かれて、ストーリーはしっかりしているのですが、でも序盤のあの丁寧さを鑑みると、もうちょっとちゃんと描けたでしょっていう贅沢な想いがあります。
エドゥナや妖精王、ヤミノヒトミの過去と妖精と人間の関係はもっと描いてほしかったなあとか、イメルダ様との信頼関係イベントそれだけ? とか記憶の泉でずっと待ってるの? とか、こう、もうちょっとあったでしょみたいな。情報は足りているし、バッド気味のエンドを繰り返してそこから何度でも立ち上がるとか、先代の戦士たちから受け継がれるものだとか、そういうテーマもわかるし、魔導書の仕掛けもなるほどと思ったし、セスの正体も納得がいくものだっただけに、もっと丁寧にできたでしょという気持ちがあります。
とはいっても全体的には十分楽しませてもらったし、SFCで子供時代を過ごした人間としては、これこれこういうゲームでいいんだよみたいな気持ちになる良作だったと思います。あとは、やっぱりファンとしてはRevoの音楽が最高なんですよね……。