【ライブ感想】THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 7thLIVE TOUR Special 3chord♪ Glowing Rock! 2/15・2/16 @ 京セラドーム

 

 前々からシンデレラの楽曲の一部はこれ生バンドで聞きたいよなあって思うものがあって、だから今回テーマがRockなので生バンドです! と発表があった時は歓喜したのですが、期待を裏切らない最高のライブでした。これはバンドだよなあと思っていた曲はおおよそ聞けた。めちゃくちゃ楽しかった!

まず一曲目の「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」の生バンド演奏が聞こえてきた時点で完全に勝利していたし、「Unlock Starbeat」で確信に変わったし、「Lunatic Show」で完全に大阪まで来た元はとったと思いましたからね。演奏本当に良かった。次のライブも曲によってはバンド入れませんかねと思うくらいに良かったです。ほら、今回やらなかったバンドで聞きたい曲、まだあるんですよ。

今回は本当に盛り上がったとか、最高だったとか、めっちゃ良かったみたいな感想しか出てこないライブです。アイマスだとかこの系統のライブは、キャラクターを見るという要素と、それを演じる役者の表現を見るという要素と、音楽のライブとしての要素のバランスの上で成り立っていると思っているのですが、今回はかなりライブの部分に重心をおいて楽しめるステージだったなと。盛り上がりすぎて私が舞台上を見ていなかっただけとも言いますが。

そんな感じの最高! とか優勝! とかしか言うことのないライブ。7thはコンセプトライブの色が強いのでどうなるのだろうなと思っていたりもしたのですが、きっちりPop、Dance、Rockのテーマを全く別のステージに仕立ててきて最高のツアーになっていたと思います。次は9月にもライブをやるということで、今後のシンデレラガールズも楽しみになるツアーでした。次は的場梨沙もミス・フォーチュンも出る(はずだ)しな!!

 

 

曲ごとに感想を。

・初日最初のブロック「Lunatic Show」からの「美に入り彩を穿つ」、「Spring Screaming」「ØωØver!! -Heart Beat Version-」「Nocturne」の流れですよ。今回はバンドで映える曲優先だぞ、攻めまくるからな? という名刺代わり5曲で、ああもうこれ最高に違いないじゃなと思いました。「Spring Screaming」好きなので、ここで生バンドで来るの最高じゃんって。そして「Nocturne」のクールなカッコよさもね、演奏で映えるの。あと、美彩もMCなのだけど、りっか様が先輩の振る舞いをするようになってるのエモくないですか??

・「オウムアムアに幸運を」
オリジナル5人は揃わずチトセとナオ2人での披露ですが、なんかもう泣けるんですよね。今回はリサ居ないけどさ、リサの歌った曲がライブで披露される訳じゃないですか。そして、昔のフュージョンみたいな感じの楽曲で、やっぱり生演奏が映えるよねと思います。

・「義勇忍侠花吹雪」
みんな大好きぶち上げ和ロック! 2番Aメロの3人ずつのソロパート最高。後ろの液晶映像が燃え上がってるのも最高。炎の演出が多いライブで凄かったのですが、この曲は背景が燃えるべきだよなって。ストーリー的に。

・「Gaze and Gaze」
フォーリンシーサイド。来るかな来るかなとは思ってたけど、こんなにクールでカッコいい路線で来るとは思わないじゃないですか。巴と憧れの瑞樹の姉御のユニットに、憧れを歌ってるっぽい歌詞がとても良いです。あと東山奈央と花井美春なのでやたらめったら歌がうまい。

・「生存本能ヴァルキュリア
誰だよVelvet Roseに「生き残れ」とか「守りたいもの守れる強さを」とか歌わせたの!

・「Trust me」
これももう生バンドありきでしょっていう曲。そして発火で火柱が上がってびっくりしました。凄い高さだったし熱かった。

・「in fact」
橘ありすというキャラクターは、この一年でありすの物語というSSRカードと、「to you for me」という曲であの頃の「in fact」からはずいぶん進んで大人橘になったのですが、それを踏まえてのアコースティックアレンジですよ。成長したありすの歌う「in fact」は全く別の色を持った歌になっていて、また新しい一面を見せてくれましたし、アウトロに「to you for me」のフレーズが入ってくるところもまた憎い。

・「Palette」
思ったよりだいぶ生演奏映えする曲だなと。PCSはなんというか絶対的安心感がある。

・「おんなの道は星の道」
これもバンド? という感じですが、やっぱ演歌は生演奏だよなあと。

・そうだよこれが生バンドで聞きたかったんだよという「PANDEMIC ALONE」。二日目に「毒茸伝説」、そしてカバーで「紅」と、もう今回の大阪は松田颯水という才能を活かし切るためのライブだと言ってしまっても過言ではなかったと思いますが、いやほんと凄いパフォーマンスでした。文句なしのMVP。星輝子はさっつんにしかできない。
二日目の「紅」のイントロは始まった瞬間完全にガッツポーズだったし、パフォーマンス半端なかったです。ラスサビ、あんなにクリアにあの声量で声が伸びていくの化け物かと。なんでこの人アーティスト活動してないの??

・「Fascinate」から 「双翼の独奏歌」のザ・中二なゾーンも本当に最高でした。「Fascinate」の生演奏最高なんですよ。サビの途中で、リズムが変わってドコドコドコドコってなるところ最高なんですよ。Velvet Rose、思ったより全然歌うまいし雰囲気持っていてめっちゃ良かったです。というか大分好きですね。どっちかと言うと、黒崎ちとせが危ない。崇めたくなる感じ。
「双翼の独奏歌」はやっぱり2番のセリフの応酬からピタッと声が重なるところね、あれが大変にすばらでした。あすらんはMCのプラトニックな関係で、あの爛れた名古屋のしきあすは何だったのかと。
そして蘭子は「夢幻ノ救憐唱 ~堕チル星ノ調ベ~」もマジ最高でした。展開がどんどん変わっていくこういう曲大好きなんですよ。初期の頃の曲も良かったけれど、蘭子のこういう振り切った曲が聞きたかったんですよ。

木村夏樹にこの思い届けな「Rockin' Emotion」にも参加していたし、「ØωØver!! -Heart Beat Version-」もあったし、とどめに二日目の「Twilight Sky」でアスタリスクPは今回生きて帰れなかったのではという感じ。トワスカはなんだろう、やっぱこれなんだよな感が半端ないです。オレンジから青にグラディエーションするドームの客席、きれいでした。

・「アンデッド・ダンスロック」
最高! 優勝! それ! みたいな語彙力になった。楽しかった。

・「∀NSWER」から「Trinity Field」の流れは6thにもあったけれど今回もやはり盛り上がるし、生バンドの恩恵を受けまくっていた感じ。「Trinity Field」は完成度的には力みのあった6thより数段上だったと思います。やっぱりトライアドプリムスがシンデレラのエースなんだよな感が凄かった。

・「HOT LIMIT
まさかのイントロにガッツポーズする私と連番者(大橋彩香推し)。いやほんとまさか聞けるとは思わなかった。後半強風を受けながら歌っていたのが、申し訳ないけどちょっと面白かったです。はっしーは今回も安定感を形にしたみたいなパフォーマンスで真ん中にいて、どんなな流れも断ち切って正しく前に進めていく進行と、それを嫌味にしない愛嬌が、アクの強いシンデレラのセンターに立つ大樹って感じでした。二日目のMCを聞いてもシンデレラの全部を背負ってるのはふーりんなんだけど、真ん中に揺るがずそびえてるのははっしーなんだよなって。

・とにかく楽しい「純情Midnight伝説」。楽しい。

・本編を「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」でここが最前線と宣言してはじめて、「EVERMORE」で先へ先へ夢の先へと締めるのはズルいでしょ。ここでテーマはRockというところから、いつものシンデレラの色に戻して終わるのも小粋でした。

・毎回すげー好きなんですよねって言っている「Virgin Love」ですが、今回は生バンドでなおのこと良かった。シンデレラは最近本当にユニット推しが強くて、中でも特に二人組カップリング推しが強くて、このノーティギャルズも含めMCは本当にユニットでイチャイチャしており、私にとても優しい。

・「エヴリデイドリーム~マイ・スイート・ハネムーン」
アコースティックメドレー。二日目の白眉。この日はもう牧野由依松田颯水かという感じ。情感というか、情念のこもったピアノのみでお送りする「エヴリデイドリーム」、牧野由依の歌唱表現の凄まじさで、佐久間まゆというキャラクターの深淵というか、奥行きが見えるのゾワッとしました。そこから明るく笑顔の「マイ・スイート・ハネムーン」で、まゆ結婚おめでとうと思いながら、なにかどこか怖さが残っている感じも表現の凄み。曲が終わった後、会場の拍手が鳴り止まなかったのが印象的です。

・ニュージェネ新曲「Great Journey」は流れはじめて、えっなんで?? となった次の瞬間にプリコネのイベントEDだ!!! ってなっていました。曲もパフォーマンスも安定のニュージェネ色というか、普遍の安心感という感じ。

・りあむと雪美の「夢をのぞいたら」と「Sun! High! Gold!」。星希さんのりあむマジりあむっていう感じ(特にMC)で、中澤ミナは完全に佐城雪美でした。本人の成長後を見つけてきたのかな? ていう感じ。

・二日目はスタンドだったので「お願いシンデレラ」のはっしー定点カメラをしていたのですが、ドラムのところに寄っていってちょっかい出しているのを見て、よし! と思いました。いや何がよしだっていう感じですが。

【ゲーム感想】十三機兵防衛圏(ネタバレあり)

 

十三機兵防衛圏 - PS4

十三機兵防衛圏 - PS4

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: アトラス
  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: Video Game
 

ネタバレ無しはこちら。

 

 

最後までやってなるほどこういうことだったのかと腑に落ちると、やっている最中にどう思っていたのかがかなり抜けてしまったというか、今から記憶を消してもう一度遊びたいという気持ちがあるのですが、終えてみての感想を。

 

物語全体

2188年の大人たち碌なことしねーな! だとか、井田鉄也なにしとんねん! だとか、ここに至るまでに色々とあるんです。人はいつだって愚かで、執着や絶望から簡単にタブーを侵し、取り返しのつかない結末は簡単に導かれる。でもね、でも、人はそんな過去を乗り越えて、負の因果を断ち切って、進むこともできるのだと。

別にこの方舟の15人が、過去の人よりも優秀だとか進化してるなんてことはない。でも、滅び去った人類の先に、めちゃくちゃな方舟計画の先に芽吹いた命たちがあって、人の歴史はつながっていく。敵味方も善悪も話を進める中で感じ方がくるくると入れ替わる、愚かさも尊さもそのままパッケージングしたみたいな物語が、なんだか凄く、凄く良かったなと思います。

 

最初からみんな持っている知識を持ち寄ってお互いに協力していたらあっという間に解決していたこと多いんですよ。でもそうはできなかった。方舟計画はめちゃくちゃで、関係もこじれにこじれて、それが人類で、その果てだからこそ13人が力を合わせてた戦った最終決戦とこの未来が生まれた。宇宙に広がった数多の探査船の中に、そういう可能性があったという話な訳で。

 

それからこの話、生命倫理は地球に置いてきたとばかりに何でもありなのが面白かったなと。そもそもかなりマッドな感じの研究者たちが作ったクローンの存在が織り込まれた計画、記憶保存にAI化に模擬人格の構築、それをドロイドにインストールするのも、人間の脳にインストールするのも自由自在。更にはセクター0に保存されたデータから管理システムに再生される、ループ超えした人たちの存在。

そもそも舞台が仮想世界であったというところもありますが、肉体と人格の結びつきやその連続性に対して、認識はあれどこだわりがあまり無い感じがあります。DD426によるナノマシン剥離での人格と記憶の破壊を、自分の脳内ナノマシンに記憶を保存して模擬人格を構築することで、僕は僕だろ? と言ってのける沖野とかヤバくないですか?? そしてそれをみんな沖野司だと当たり前に受け入れているのも。

というかメインキャラクターたち、玉緒ドロイドだとか一周前メンバーへの扱いも、ミワコたちモブAIへの扱いも、とっくに死んだ森村博士の記憶から再生された人格である千尋の扱いも、生身の人である15人へのものと差がないように思うのですね。自分たちと同じものだと思ってる感じで、AIやドロイドに対しているという意識がそもそも無い。因幡深雪や2188年の事件のニュースを見るに、作品としてそれを認識していないわけではなくて、あくまでも彼らの作る新しい世界にはその概念が無さそうというか。

極めつけがエンディングでの、遺伝子操作でポッドに肉体を作り、仮想世界のAIたちを生身の人間として生み出すという郷登と東雲の計画で。めっちゃいい話風で語られますが、倫理的にはマッドサイエンティストの極みだなと思うのです。

そんな彼ら彼女らが、それだけのテクノロジーを持った状態から始まる新世界。どういう価値観の、どういう社会が生まれていくのか、ちょっと興味のある部分です。

 

あと余談ですが、このゲーム、森村千尋=冬坂五百里ちひろに顕著ですが、ダメ絶対音感があると真実にかなりショートカットできるなあと思ったりだとか。

 

 

キャラクターごとに雑感を。

鞍部十郎

若干存在感の薄い主人公。話は怪獣とロボット、壊れる日常、自分自身の謎と王道。

その実態は、DD426で壊れた和泉十郎の脳に玉緒(一周前)が作った人格を構築し、森村千尋は和泉十郎(426)の記憶をダウンロードし、脳内にデータとなった426が住み着きながら和泉十郎の記憶をちょっと入れようと頑張ったって、もはやキメラではそれは。なんだかんだ最終的には鞍部十郎として出来上がったようで何より。

426による誘導もあって薬師寺と結ばれたけど、この人格自体は製作者の玉緒の好みだったりしないのだろうかという疑惑が私の中に若干あります。

薬師寺の惚れた和泉十郎はまさしくヒーローという感じ。和泉十郎(426)はもう少し、何かちょっとうまいやり方があったんじゃないかとは思うものの、長い戦いお疲れ様という感じでした。エンディング、良かったねと。 

 

薬師寺

蹴り飛ばしたくなる猫型マスコットと始める魔法少女生活(武器の銃はゴツい)。あと色んな人に餌付けしてた印象。何を掛けてでも取り戻したい和泉十郎のため、腹立たしい猫に友人を撃って回らさせられる展開は辛さがありました。最終的に結ばれてよかったけど、彼女が鞍部十郎をどういうものとして受け入れたのかはちょっと分からない。

しっぽ(426)との関係は、2188年の回想を見てムカつく父親と素直じゃない娘の関係を模したものだったのかという驚きが。

というかこの作品、この人のためにはどんなことでもするっていう執着の形を見せる人多すぎじゃないですかね……。数え切れないループの中で業が溜まっていったのか。

 

関ヶ原

誰のルートに出てきても当たりがきつい。本人のルートを始めると記憶喪失で何もわからない。

ということで、なんだか好感度の低い子だったのですが、なんもかんも人当たりの悪さと井田にいいように利用された不運が悪かった。本人が常に冷徹というか、悲壮感がないからわかりにくいですが、悲惨な境遇ではトップクラスだったのだなあと。

 

冬坂五百里

遅刻遅刻と走ってたら校門前で謎のイケメンと衝突! 概念上の少女漫画! 友達と買い食いしたり恋バナしたりしながら、最終的には恋の力でロボットで怪獣にだって立ち向かっちゃう! みたいな。

森村千尋のこのループでの生体ですが、前週までの彼女の背負ったカルマから解き放たれて幸せそうで良かったです。まあ森村に記憶を植え付けられて乗っ取られそうになってたけど。

ちなみにルート分岐、猫に餌を上げるところがどうしても分からず延々と買い食いループに陥ったのが私がこのゲームで一番苦労したところです。

森村先生はなんだろう、頑張ってたのだけど、人に弱みを見せられない人だったのかなあと。 2188年の記録を消したり、自分だけでイージス作戦への変更を決めたり、この辺がもう少し誰かと協力して動けていたらと思いつつ、周りにいたのがああなった井田とかだしなあって……。

そして私が本作で一番びっくりしたのがちひろ=森村千尋クローン。三浦ルートで妹という刷り込みがあったのが完全に油断でした。そして目覚める森村博士(2188年)の記憶で、身体は子供! 頭脳は大人! な存在に。園児服の幼女が大人びたこと言ってるのですが、表情がうまく隠せなかったり、不安になると三浦から渡された縫イ包ルミを撫でる密やかなギャップが良き……ってなります。

そして記憶のコピーが簡単にできる世界で森村博士の記憶を呼び覚まされても、その存在が森村千尋のクローンであったとしても、三浦の妹としてのちひろを消さないでくれること、家族だと彼女の口から言ってくれたことが、凄く良かったなと思います。

 

三浦慶太郎

1945年の大日本帝国軍人の子。礼儀正しく真面目で思いやりのあるええ子やなあと。妹のちひろや玉緒さんを守ろうとしてるのも良い。年代設定的なところでシナリオの雰囲気がちょっと古い感じになるのも面白かったです。

南奈津乃とは運命の恋人。2188年からの縁。

1周前の三浦はAIとして機兵の制御システムになり、そこからBJというドローンになって南と大冒険をするのですが、礼儀正しく真面目で思いやりのある子なのは変わらずで、大事なデータと秘めた想いを胸に、仲間のために頑張る健気な小さいロボットになっていて最高でした。BJかわいいよBJ。

 

 

南奈津乃

宇宙大好き陸上部健康娘。BJというロボット(南は宇宙人だと思っている)と出会ったことで時間を超える大冒険へ向かう、一番ドキドキワクワクのジュブナイルをやっていた印象です。コミュ力も高くて友達も多い。この周だけでなく、あのどうしようもない2188年勢の中でも良い子。ただ、女子トイレのドロイド事件や、未来に置き去り事件等、好奇心が勝るのか危険に割と無頓着で、危ない目に多々あっている気も。

そして三浦とは運命の恋人。鷹宮とは運命の関係。

 

 網口愁

一見チャラい感じで、少し知ると世の中を斜めに見ている感じ。だけど、自分の考えはしっかり持って筋は通していくところがめっちゃ好きです。井田のこの周での生体ですが、同じ遺伝子でも環境の違いでこんなに違う育ち方をするし、主体はここにあるのだというのが、如月ではなく鷹宮を選んだことに現れているのかなと。

優先的にシナリオを開けていった結果、中盤早めに街が30キロ圏内しか存在しないことを知って、他のシナリオを読む度に、その街、実は周りは宇宙なんだぜって思っていました。

井田先生は執着の最終到達点みたいな感じなんですが、それを助けたかった如月AI自身に否定されて、すべてを犠牲にしてもループしか無いという方向に進む、ラスボス的なムーブでなんともこう。やってることは分かる、分かるけれど、その犠牲になった子たちの姿を散々見ているからどうしてもね……。そして利用しようとした東雲からの執着に邪魔されるのも因果というかなんというか。

 

比治山隆俊

帝国軍人にして、シリアスになってくる終盤にコメディ要素を一身に背負うアホの子。世界一美味いという焼きそばパンと大好きな沖野にしっぽを振る姿はまさに大型犬。そんな隆俊さんですが、軍人らしく覚悟が決まっていて、いざとなればこの上なく頼れるんですよね。

嗜好は分かりませんが、沖野の女装姿を見て一目惚れ。そこからは沖野にからかわれ遊ばれ振り回される姿が面白いです。人を人だと思ってないサイコパスな気配のある天才沖野くんが、比治山のことは気に入っていて、どんな扱いをしても絶対自分を好きでいてくれるみたいな信頼感を見せるのがいいんですよね……。2188年からの運命の2人、十三機兵のベストカップルは沖比治。

あと三浦と比治山と一緒に登場して、15人の1人な割にこの周ではあまり活躍の機会がなかった玉緒さん、2188年から1周前、今周と隙がなく真っ当な人間だったなあと。仮想現実の日本で社会性を身に着けてという博士の計画が、ねじ曲がった結果とんでもない体験を植え付けることになってはいますが……。

 

鷹宮由貴

これぞスケバンという感じの不良少女。父親のことで警察に弱みを握られ、井田の機関の手伝いをすることにという話ですが、まさかこのキャラでやるのが謎解きミステリ的な話になるのかと驚きました。

気づけば行動指針のほとんどをしめている幼馴染のなっちゃんこと南のこと好きすぎ大問題。まあ2188年での関係を考えると、感じるものがあるのかなとも。

あと鷹宮編で出てくる相葉こと玉緒ドロイド(426)が私はワトスンと楽しげで、なんだかんだ楽しんでるよなこの和泉十郎って思ったり。

 

如月兎美

ちっちゃくて可愛いけど生意気で賢くて気が強く芯も強いウサミちゃん。赤いメガネフレームが特徴的。典型的な不良で女子からの押しに弱かったりする緒方とのカップリングがめっちゃ好きです。そういうの、そういうの好きってなる。

あと、あの沖野を脅して事態の調査を始めるあたり怖いものなしやなと。

因幡深雪が1周前の如月というのは、網口編を先に読み進めていたことで逆に気がつかなくて、ああああ! となったポイントでした。そして生命倫理をぶっちぎりまくる物語の中で、如月(1周前)だけは現代の感覚で話してて馴染みやすい。

 

緒方稔二

突然始まる謎のループもので初めた瞬間??? となる緒方編。それが如月編を後からやって、このシーンか! ってなったり、比治山と沖野が何をしようとしていたのかを知ると話が繋がるのだからよく出来てるよなと。

緒方はまさに不良というリーゼントの男。喧嘩っ早い一匹狼のようで、筋の通った人情には厚いキャラクターで結構好き。如月とは本当にナイスカップルだと思います。

 

東雲涼子

DD426に侵されて記憶が失われていくわ、2064年の戦いの影響で傷だらけだわで、痛々しさのある東雲先輩。色々な人のシナリオで何かしてると思ったら、まさかこんな無為な活動に精を出していて、それが記憶障害のせいだなんて思わないじゃないですか……。起きる度に426を追うことだけを繰り返し、自分がやったことすら忘れているって、ほとんど痴呆症みたいな。

井田に執着し、井田の言うままにDD426を仕掛けて自らも侵され、井田の如月への執着を知って手にかけ、その記憶すら忘れて井田を想う。おまけに2188年では人類に絶望し、方舟計画をダイモスの襲来で無限ループに陥らせた張本人という、なんというか、もうなんというかなキャラクターなのですが、嫌いにはなれないと言うか、必死だったんだなというのが分かっちゃうのがやるせないです。

完全に人格が崩壊した後は、2064年の訓練時の記憶をダウンロードして、なんとなく落ち着いていた感じ。そしてエンディングの郷登との関係は額面通りに受け取っていいのか……?

 

郷登連也

メガネクイッとしながらメモをとる秀才タイプで合理性と効率性を是としていながら、その根底に森村先生への執着があるの、この作品のキャラクターらしいと思います。

終盤に開放できるシナリオで、ちひろ(森村博士)を問い詰めながら真相を解明していくことになるのですが、傍目に見ると幼稚園児を理屈で詰めまくる男というヤバい絵面になっているのがちょっと面白かったです。

東雲の元カレということで、過去の記憶で復旧した東雲先輩と結ばれたような雰囲気をエンディングでかもしだしつつ、この2人、井田と森村を遺伝子操作&ポッドで現実世界に召喚するために協力しているのでは??? という疑念が拭えない……。

【ゲーム感想】十三機兵防衛圏(ネタバレなし)

十三機兵防衛圏 - PS4

十三機兵防衛圏 - PS4

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: アトラス
  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: Video Game
 

 年始から急にTLで名前が上がり始めて盛り上がり、松澤アナが絶賛していたりしたものだからこのビッグウェーブは乗るべきだと思って体験版をダウンロードしたらあとは一気でした。面白かった。めっちゃ良いゲームだった。

 

追想編という13人の少年少女の視点から過去を追うアドベンチャーパートと、機兵と呼ばれるロボットでDと呼ばれる怪獣と戦う崩壊編というバトルパートからなるゲーム。どんなゲームかといえば少年少女でSFです。これでもかというくらい盛り込まれたSFガジェット、そしてメイン舞台が1985年というノスタルジーあふれるジュブナイル。あれもこれも惚れた腫れたも、もう全部入り。

時系列もバラバラに断片として語られていくこの13人のストーリーは、キャラクターによってぜんぜん違う色合いです。日常とロボットだったり、少女漫画的だったり、謎解きだったり、宇宙人との邂逅だったり、記憶喪失の中で何者かに追われたり、ループからの脱出だったり、更には魔法少女(的なもの)だったりと色とりどり。そしてそれが複雑に絡み合っていく。10分単位くらいのエピソードを開けば開くほど、「ええ!?」と「なるほど!」を繰り返しながら世界が広がっていく感じで、途中からはとにかく辞め時がないっていう状態に。

そして全部入りでめちゃくちゃに広げまくった風呂敷が、終盤ちゃんと一つの時間の流れにまとまっていくのが凄いです。散りばめられていたキーワードやエピソードが、脳内でパズルのように組み上がって、一つの絵を描いていく快感。大ネタで世界が変わるというよりも、後半から終盤にかけてはそれが延々に続いていくことに、未知のものを理解していく楽しさがあります。

そしてそれを体験として楽しめるのがゲームとしての強みかなと。追想編で好きにキャラクターを動かして、クラウドシンクでキーワードを使って、そして何より自分の好きな順番でエピソードを開いていくこと。最終的に崩壊編のバトルを自分で操作すること。それが小説や映像作品にはない、自らこの世界を感じ知っていく体験を与えてくれました。たどり着く真実は一つですが、このゲームは遊んだ人の数だけ違う道筋での発見と驚きがあるのだと思います。

 

そしてそれを実現してるのがこの作品の一番凄いところだと思います。それはまあ、大元に起きた出来事があって、それを断片に切り出していったらこうなるというのはわかるのです。でも、現実世界じゃないんだから、事実を切り分けても整合が勝手に取れる訳じゃなくて、それぞれのエピソードを矛盾なく組み上げていくのは大変なことだろうなあと。

バラす前の歴史が入り組んでいて、それをミスリードとヒントの散りばめと謎解きを交えながら断片で見せていく。しかもこれ、13人のエピソードはロックが掛かっていない範囲では好きな順番で読めるのだから、プレイヤーへの情報提示をコントロールしようとしたらものすごいパターン数になるわけで、それをどこから読んでも面白いようにバランスを取るのは神業に近いんじゃないかなと思います。

あと、前提としてとにかくゲーム部分にストレスがないのが良いところ。2Dグラフィックでのアドベンチャーパートは操作は直感的で、ルート分岐もそこまでのシナリオもワンボタンで見れる。セリフとキャラクターの動きだけで芝居は作られていて、地の文がないから読もうと意識しなくても大丈夫。一つのエピソードは10分ほどで、セリフもシンプルで、いつもはボイスを飛ばしがちな私でも聞けてしまうテンポがあって、なのにキャラクターは立っているし、そこにある情報量は膨大。そして入り組んだ話を理解するのにメモが必要なところを、自動でキーワードとエピソードをまとめてくれる究明編がしっかりフォロー。後から見直して、あーでもないこーでもないと仮設をたてたり、検証したりできるのが痒いところに手が届く仕様。

 

そんな感じに、優れた操作性に支えられて、自ら真実を解き明かしていく快感を味わいつつ、13人の少年少女の恋と戦いのジュブナイルをたくさんのSFガジェットと共に楽しめる、素敵な体験をさせてくれるゲームでした。やれて良かった。話題になってくれてありがとう、乗って良かったビッグウェーブと思います。

【マンガ感想】MAO 1-3 / 高橋留美子

 

MAO (3) (少年サンデーコミックス)

MAO (3) (少年サンデーコミックス)

 

 高橋留美子新連載は現代の女子高生菜花と、平安時代から大正時代までを生きてきた陰陽師の摩緒が、時間を超えて出会うところから始まる物語。時を超える妖怪ものは犬夜叉という大巨編がありましたし、前作である境界のRINNEがゆるっとしたコメディだったので、ここから週刊誌連載でシリアスものが始まることにまずびっくりしたのですが、これが非常に面白いです。

菜花がかつて両親を失った大事故、摩緒に妖と言われた彼女自身の謎、摩緒の追う妖怪、つながった時間、迫る関東大震災と、謎で引っ張っていくストーリーなのですが、その謎をどんどん解き明かしていくハイスパート展開が特徴的。当然明かしきれば話が終わってしまう訳ですが、明かされたところから次の謎に広がっていくので、展開に一気に引っ張られます。この引きの強さと、緩急自在で流れるような展開は流石。癖の強いサブキャラたちもるーみっく作品らしく、菜花の動じない性格も良い感じ。

このペースでどこまで進むのか、果たしてどのくらいの長さの連載になるのかもまだ見えないですが、まずはこのジェットコースター的な展開を楽しんでいきたいと思います。キャラクターも徐々に増えつつあり、次巻も楽しみです。

【小説感想】カブールの園 / 宮内悠介

 

カブールの園 (文春文庫)

カブールの園 (文春文庫)

 

 アメリカに住む日系三世の女性が、自分のルーツをたどるように、反目していた母の元を、そして祖父母のいたマンザナー強制収容所跡を訪ねる「カブールの園」と、アメリカの地で2人取り残された日本人姉弟がどう生きたかを描く「半地下」。どちらも2つの文化を抱えて生きていくことを、とりわけ日本語と英語という2つの言葉にフォーカスを当てながら描いた短編になっています。

私は、エンタメに振っていない宮内作品はよく分からないけどなんだか凄かったのような感想を持つことが多かったのですが、これはシンプルかつストレートで非常にわかりやすく、それ故に研ぎ澄まされた感じがありました。

「カブールの園」の自分探しロードムービー的な展開、かつて遠ざけた老いた母との再開、そして自分のルーツにある日本人収容所に残された、伝承されなかった日本語による文芸との出会い。PTSD治療を受けていた彼女をゆっくりと解きほぐすように、どこか淡々と描かれていくその先で、あまりにもどうしようもないものを見つけてしまうこの感じ。突きつけられたわけじゃなく、追い詰められたわけじゃなく、まるで空気のように周りにある、アメリカで日本にルーツを持つものが生きる限り、これからもあり続けるもの。当然のように身動きを縛るそれが、ゾッとすることさえ許さない現実として浮かび上がる切れ味が凄かったです。

「半地下」もアメリカで生きる日本人の話ですが、「カブールの園」のレイが虚構のオリエンタリズムを纏って日系人として自分を演出し続けることを選んだように、アメリカで孤児となった姉弟の姉は世界最大のプロレス団体で、己の境遇すらもエンターテイメントのパーツとして生きる手段に変えていったことが印象的でした。すべて虚構だと分かって、その上に自分のあり方を作って、それでも現実はずっとその裏側にあって、時に手を伸ばしてくる。彼女がこの地でそうやって生きたこと、そういう生を選ばさせられ、演出されたことをどう捉えるかは色々あると思うのですが、個人的には、最終的に事故死さえも虚構に飲み込んでいった狂気に、どうしても惹かれるものを感じました。

これが大がかりな現実逃避なのか、それとも現実に対するカウンターなのかはわからない。現実程度、ひっくるめて虚構に取りこんでやる 。そう宣言するエディの声が聞こえてくるようだった。

2019年の8作(マンガ)

SPY×FAMILY / 遠藤達哉

SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 遠藤達哉の新作が読めて、しかも最高に面白いなんて、こんなに幸せなことはないです。

【マンガ感想】SPY×FAMILY 1 / 遠藤達哉 - FULL MOON PRAYER

 

まちカドまぞく / 伊藤いづも

まちカドまぞく 5巻 (まんがタイムKRコミックス)

まちカドまぞく 5巻 (まんがタイムKRコミックス)

 

 アニメが大変良かったのですが、原作はその先が本当に最高なので読んでください。お願い。伏線回収の巧さが光ります。

【マンガ感想】まちカドまぞく 1~5 / 伊藤いづも - FULL MOON PRAYER

 

彼方のアストラ / 篠原健太

彼方のアストラ 全巻合本版 (ジャンプコミックスDIGITAL)

彼方のアストラ 全巻合本版 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 これもアニメから。少年少女が自分自身を見つける宇宙漂流&冒険もの。ど王道を行く面白さがありました。

【マンガ感想】彼方のアストラ 1-5 / 篠原健太 - FULL MOON PRAYER

 

私に天使が舞い降りた! / 椋木ななつ

私に天使が舞い降りた!: 1 (百合姫コミックス)

私に天使が舞い降りた!: 1 (百合姫コミックス)

 

 こちらもアニメから。私はひなノアの尊さを人々に伝える仕事につきたいですね……。

【マンガ感想】私に天使が舞い降りた! 1-5 / 椋木ななつ - FULL MOON PRAYER

【マンガ感想】私に天使が舞い降りた! 6 / 椋木ななつ - FULL MOON PRAYER

 

やがて君になる / 仲谷鳰

やがて君になる(8) (電撃コミックスNEXT)

やがて君になる(8) (電撃コミックスNEXT)

  • 作者:仲谷 鳰
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/11/27
  • メディア: コミック
 

 美しいフィナーレから最高のエピローグ。こんなごちそうさまですとしか言いようがない、良いものを読ませていただきました。

【マンガ感想】やがて君になる 7 / 仲谷鳰 - FULL MOON PRAYER

【マンガ感想】やがて君になる 8 / 仲谷鳰 - FULL MOON PRAYER

 

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149  / バンダイナムコエンターテインメント・廾之

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149(5) SPECIAL EDITION (サイコミ)

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149(5) SPECIAL EDITION (サイコミ)

  • 作者:廾之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/05/30
  • メディア: コミック
 

 驚くほど細やかなキャラクター描写と丁寧なストーリー。最高のコミカライズで感謝しかありません。アイマス知らなくても面白いと思うので、もっと読まれてほしい。

【マンガ感想】THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149 5 / バンダイナムコエンターテインメント・廾之 - FULL MOON PRAYER

 

1518! イチゴーイチハチ!  / 相田裕

1518! イチゴーイチハチ!(7) (ビッグコミックス)

1518! イチゴーイチハチ!(7) (ビッグコミックス)

 

 挫折から始まる生徒会系青春物語完結。本当に最高の青春でした。

【マンガ感想】1518! イチゴーイチハチ! 7 / 相田裕 - FULL MOON PRAYER

 

進撃の巨人 / 諫山創

進撃の巨人(30) (講談社コミックス)

進撃の巨人(30) (講談社コミックス)

  • 作者:諫山 創
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/09
  • メディア: コミック
 

 なんだかもう凄いことになっててよく分からないのですが、とにかくとんでもないことになっている進撃。来年完結? 本当に!?

2019年の8作(小説)

なめらかな世界と、その敵 / 伴名練

なめらかな世界と、その敵

なめらかな世界と、その敵

 

 どの作品を読んでも見事で天才か……と思った短編集。本当に美しい話を書く人だなと思います。そして姉妹百合への並々ならぬ情熱を感じる。「アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー」収録の「彼岸花」も素晴らしかったです。

【小説感想】なめらかな世界と、その敵 / 伴名練 - FULL MOON PRAYER

 

りゅうおうのおしごと / 白鳥士郎

りゅうおうのおしごと! 11 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 11 (GA文庫)

 

 10巻も凄かったのですが、もうとにかく11巻の姉弟子の話が凄まじかった。空銀子というキャラクターを証明して、絶対に好きにさせる圧倒的熱量。

【小説感想】りゅうおうのおしごと! 10 / 白鳥士郎 - FULL MOON PRAYER

【小説感想】りゅうおうのおしごと! 11 / 白鳥士郎 - FULL MOON PRAYER

 

夏の終りに君が死ねば完璧だったから / 斜線堂由紀

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

夏の終わりに君が死ねば完璧だったから (メディアワークス文庫)

 

 言葉で示せないものを証明するための、彼と彼女のひと夏。胸を抉る、鋭く、美しい物語でした。

【小説感想】夏の終わりに君が死ねば完璧だったから / 斜線堂有紀 - FULL MOON PRAYER

 

賭博師は祈らない / 周籐蓮

賭博師は祈らない(5) (電撃文庫)

賭博師は祈らない(5) (電撃文庫)

  • 作者:周藤 蓮
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/10
  • メディア: 文庫
 

 シリーズ完結。たどり着いた仮初の幸福という欺瞞を打ち捨てるトゥルーエンドといった趣。素晴らしい結末でした。

【小説感想】賭博師は祈らない 5 / 周藤蓮 - FULL MOON PRAYER

 

吸血鬼に天国はない / 周籐蓮

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

  • 作者:周藤 蓮
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/08/10
  • メディア: 文庫
 

 そして新シリーズ。前作と似た仕立てで、なりふり構わず一歩踏み込んだようなお話になっていてとても好き。鮮烈なビジュアルイメージが残るシーンが多いところも良いです。

【小説感想】吸血鬼に天国はない / 周藤蓮 - FULL MOON PRAYER

【小説感想】吸血鬼に天国はない 2 / 周藤蓮 - FULL MOON PRAYER

 

 ロード・エルメロイII世の事件簿 / 三田誠

ロード・エルメロイII世の事件簿 4 「case.魔眼蒐集列車(上)」 (角川文庫)

ロード・エルメロイII世の事件簿 4 「case.魔眼蒐集列車(上)」 (角川文庫)

  • 作者:三田 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: 文庫
 

 最初はそんなにかなと思っていたのですが、魔眼蒐集列車でグッとアクセルが踏み込まれたような印象。あれもこれも盛りだくさんのエンターテインメントで面白いです。

【小説感想】ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 2,3 「case.相貌塔イゼルマ 上・下」 / TYPE-MOON・三田誠 - FULL MOON PRAYER

【小説感想】ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 4,5 「case.魔眼蒐集列車 上・下」 / TYPE-MOON・三田誠 - FULL MOON PRAYER

 

どうかこの声が、あなたに届きますように / 浅葉なつ

どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)

 

 ラジオという仕事を通じた挫折からの再生の物語。主人公がとても魅力的!

【小説感想】どうかこの声が、あなたに届きますように / 浅葉なつ - FULL MOON PRAYER

 

虚構推理 スリーピング・マーダー / 城平京

虚構推理 スリーピング・マーダー (講談社タイガ)

虚構推理 スリーピング・マーダー (講談社タイガ)

  • 作者:城平 京
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/21
  • メディア: 文庫
 

 満を持してあらわになった、人と怪異の調停者である岩永琴子の特殊性。続きが恐くもあり、楽しみでもあります。

【小説感想】虚構推理 スリーピング・マーダー / 城平京 - FULL MOON PRAYER